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沼中公認会計士事務所

武蔵野市にある公認会計士・税理士事務所です。また医師・医療法人の税務も専門としています。

分かりにくい住宅取得のための贈与税非課税規定

 7月に税務調査があって、最後の質疑のため先日税務署に赴きました。なんとかクリヤーして、お茶を飲みながら担当官と雑談を交わしていた時のことです。「この納税者の場合は相続時精算課税制度を適用して贈与金額のうち1000万円まで非課税で持って行ったほうがよろしいのではないでしょうか。」と担当官がアドバイスめいた言い方をしました。担当官が言いたかったのは「住宅取得資金の贈与なら相続時精算課税の1000万円の特別控除を使ったほうが納税者有利ではないかということです。
 しかしちょっと待ってください。この特例は確か平成21年で終わっているはずだがなー、と思い担当官にその旨を伝えました。すると「いいえ、大丈夫ですよ。ちゃんと生きています。ほらこのとおり。」と言って『資産税重要実務事例詳解』(大蔵財務協会)という分厚い本を持ち出してきました。権威ある本で、私たちもお世話になっているものです。平成22年度版の427pに確かにその旨が記載されています。
 納得できなかったので「いや失礼だけれでも、確認していただけませんか。」と伝え他の本で調べかつ国税局の相談室へ電話をしてもらいました。するとやはりその本が間違っていることが判明したのです。

 「住宅取得資金の贈与」は日常的に相談を受けますので私の知識が間違っていたら大変です。現時点では「父母または祖父母などの直系尊属から受けた住宅取得資金で1000万円まで非課税」(他に厳格な要件有り)という特例しかないと思っていたので、「よかったー。間違っていなかったー。」と胸をなでおろしました。

 景気浮揚に利用される税制の分野は、まるで猫の目のようにクルクルと変わります。権威ある著作物でさえ混乱しています。「いやー勉強になりました。」とその担当官は深々と頭を下げました。「気をひきしめてもっと勉強しなくては。」と帰り道に顔が自然に真剣になりました。

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海外不動産の相続

 昨日ある会合がありました。集まった経営者の中にハワイにコンドミニアムを所有している人(Aさん)がいました。Aさんは「海外の不動産は相続税がかからないので節税のために購入した。」と、何の疑いも持たない顔で話していました。Aさんは私とは無関係の人だったので無視していましたが、周囲の顔見知りの人から「先生、本当にそうなんですか?」と声をかけられてしまい、説明せざるを得なくなりました。

私:「相続する人が日本に住んでいると相続税が課税されますが、お子さんは海外に行かれているのですか?」
Aさん:「海外に行っていれば非課税というのであれば海外に行かせますが、その必要はないと銀行から言われましたよ。だいいち海外に不動産を持っていることなど黙っていれば分かりませんよ。」

 なーんだそおいうレベルの話か、と周囲の人は気がついたようで、それ以上深く立ち入るのはやめました。

 私に水を向けた知人が「もう少し詳しく教えてください。」というので「たとえ海外に住んでいて日本に住所がない場合でも、『非居住者無制限納税義務者』といって日本国籍を持っていて、相続の発生する以前5年以内に相続人か被相続人のどちらかが日本に住所を持っていれば、海外にある財産であってもすべてが課税対象になるんですよ。」と説明しました。

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連年贈与

 顧問先の経営者からこんな電話が入りました。
「子どもが生まれたときから今まで10年間、毎年100万円づつ郵便局の子どもの通帳に貯金をしてきた。郵便局の人から毎年金額と時期を変えないと、連年贈与といって合計額に贈与税がかかるといわれた。」

 このような質問は一口ではなんとも答えにくい。
厳密には連年贈与というのは「「1,000万円を10年間に分割して毎年100万円ずつ贈与する契約を結ぶ。」ことをいいます。この場合には有期定期金として評価し、初年度に課税されます。

 これ以外に連年贈与に関する税法上の規定は存在しません。
 武富士事件で最高裁は「規定がないにも拘わらず、拡張解釈して安易に課税することは認められない」と課税庁を戒めています。

 そうはいっても、毎年同額を贈与すると、税務署から「全体としてはまとまった金を渡す贈与契約だったのではないのか」という疑いをかけられますので、明確に立証する自信がある場合を除き避けた方が無難であることは確かです。

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監査役が出席しない株主総会

 株主総会のシーズンです。

 取締役が会社の事業報告や決算の説明をして株主の承認を得るのが株主総会ですので、取締役は必ず出席します。会社法314条に取締役の出席義務が規定されています。

 では監査役はどうでしょうか。来週行われる株主総会で「所用のため」監査役が出席しない旨を連絡してきました。監査報告は「取締役に代読をお願いします」とのことです。

 会社法314条には、取締役と同様に「監査役は株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には当該事項につい必要な説明をしなければならない。」とあります。また同384条には「監査役は…調査の結果を株主総会に報告しなければならない。」とあります。これらを怠った場合に株主総会が無効になったり、罰則の規定などは特に設けられていません。

 罰則などはありませんが、会社法の規定からして当然に出席義務があるものと解され、欠席に相当の理由がなければ任務懈怠となると考えられます。
 小さな非公開会社の役員には専門的知識が乏しく、自分の都合で勝手に行動する好例です。

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鳩山元総理の贈与税ー知らなかった贈与

 少し古い話ですが、何度も尋ねられ、今もとかく話題になりますのでまとめておこうと思います。
 
 鳩山元総理が母親から毎月1500万円もらっていたけれども本人は知らなかった、というものです。国会で問題にされ、このままではまずいと思い、過去5年間分の贈与税の申告を各年度ごとに(計5回、5年分)したということです。
 
 だいぶ前のことですが、子どもの預金に約20年間にわたって毎月10万円ほどを振り込んでいた母親がいました。相続の調査でそれが問題となり、子どもが呼び出されて毎月お金をもらっていたことを知っているのか、と税務署員に尋ねられました。子どもは知らないと答え、つい最近になってそのことを知らされたと説明しました。
税務署員は「知らなかった間は贈与契約は成立しておらず、知ったときに全額が課税されるんですよ。」と説明しました。

 民法549条には「贈与は当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受託することによってその効力を生ずる。」と規定されています。よってこの税務署員の説明は正しく、鳩山さんは知ったときに何十年分かの贈与を一度に受けたことになります。

 なぜ彼は5年分だけの申告で許されたのでしょうか。総理大臣だからという理由以外に何があるのでしょうか。
 という疑問です。

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